さそり座デルタ星(δ sco)はさそり座のアンタレスの西側(「さそり」の「はさみ」の方向)に南北に3個並んだ中央の星で、亮白明星天蝎座的历史「さそり座」の輪郭を
さそり座デルタ星が歴史的な増光
【2000年7月22日 vsoljニュース (043)】
さそり座デルタ星(δ sco)はさそり座のアンタレスの西側(「さそり」の「はさみ」の方向)に南北に3個並んだ中央の星で、「さそり座」の輪郭を形作る、肉眼でもよくみえる星です。今、この星に異変が起きています。
異変に気付いたのはアルゼンチンのsebastian oteroで、眼視観測中にこの星が星表の光度よりも明るいことに気付き、京都大学の運用する国際変光星ネットワークvsnetに報告されました。 oteroの観測によれば、この星はさらに光度を増し、7月20日には2.0等に達し、星座の印象を変えるほどになっていると報告されています。
この報告を受け、スペインのfabregat他は、この星のスペクトルを撮り、普段は普通の b型星であったこの星が、水素の輝線を示すbe型と呼ばれる天体に変貌していることを確認しました。 be星とは高速自転する高温度の明るい星で、星の周囲に円盤が形成され、それが変光につながります。スペクトルに大きな変化が見られること、明るさにも顕著な変動が見られたことから、be型の中でも、特に「カシオペヤ座ガンマ型」と呼ばれる爆発型変光星に属するものと思われます。この結果はiauc 7461にも報告されました。
新星を除いて、このような肉眼ではっきりと変光のわかる明るい変光星が発見されることは極めてまれなことです。また「カシオペヤ座ガンマ型」の増光現象のなかでも、歴史的に最も明るい現象の一つです。代表星のカシオペヤ座ガンマ星(カシオペヤ座のw字の中央の星)自身は1937年4月に1.6等星に達する増光を示し、星座の印象を変えるほどであったと報告されていますが、今回の現象は63年ぶり、それに次ぐ明るさのものになります(まださらに明るくなる可能性もあります)。
さそり座は今夕方の空で観測しやすい位置にあります。肉眼でも観測できる珍しい天文現象ですので、ぜひ多くの方がご覧になられることをお薦めします。また、過去に写真を撮られた方はそれと比べてみられると面白いでしょう。
vsnetのメーリングリストにも情報があります。英文ですが、興味ある方はご覧いただければ、今回の事件の一部始終を知っていただけると思います。また詳しい観測のための比較星光度なども投稿されています。
(原文出处:http://www.astroarts.co.jp/news/2000/07/24vsolj043/index-j.shtmlan〉)